善入院 - 御本尊と寺の歴史

表白
	興隆の至誠(しせい)は、国運の旺盛(おうせい)と与(とも)に余光(よこう)盛んに輝き、報恩の純信は、民心の覚醒(かくせい)に伴(ともな)いて追懐(ついかい)弥(いよ)弥(いよ)切なり。　茲(ここ)に謹んで当寺開山月光(がっこう)大和尚以来寺門の発展に寄与されました諸上人、大和尚(だいかしょう)の宝前に申して白(もう)さく、錫(しゃく)を此の地に留め、宗祖の正風(しょうふう)を宣揚して、称佛の宝幢(ほうどう)を樹(た)て、化(け)益(えき)洽く(あまねく)四方に及び、徳川家(とくがわけ)庇護(ひご)の下、遂に一宇の諸堂を創建して、西暦千七百六十八年に芝の増上寺より御本尊一光三尊善光寺如来様をお迎えし、寺号(じごう)を善入院と改むるに至り、蓮宗(れんしゅう)の基礎を此の地に確立し給えり。　而(しこう)して永(えい)禄(ろく)五年壬(みずのえ)戌(いぬ)年（西暦千五百六十二年）以来、歳を経る事四百五十年になんなんとす。
由諸
	善入院の寺歴によると、松平家の庇護の下、永禄５年壬戌年（1562年）開山と伝えられています。当山の御本尊は一光三尊の阿弥陀如来様です。　その昔越後の国、高田の城主、源光長公夫妻は熱心な念仏信者であり、霊夢を縁として信濃善光寺一光三尊善光寺如来様を越後高田城内に祀って、守り佛として長年篤く信仰されていました。　当山十八世慈門上人の師僧懐譽上人は、本山知恩寺の御一代であり、越後の出身でありました。光長公夫妻は深く帰依し、幼くして弟子入りした慈門上人を我が子のように寵愛していたといいます。　夫妻は生前、慈門上人に自分たち亡き後は、この本尊様を盛衰激しい武家に祀るのでは無く、僧侶を養成する寺院に寄付するように言い残し、その遺言通りに、佛具一式と共に大本山増上寺に遷座致しました。　十九世秀邦上人は、師である慈門上人と深い御縁のあるこの御本尊様を自院にて祀りたいと申し出、明和五年（1768年）増上寺より、この一光三尊善光寺如来様を御本尊様として請来しました。善光寺如来様の入佛を契機に、寺号を「善入院」と改称し、現在に至っています。　時下り、先の第二次世界大戦で境内の諸堂全てを焼失しましたが、唯一御本尊様のみ、三十三世善覺上人により運び出されて難を逃れ、現在も檀信徒の方々の心の拠り所となっています。　普段は秘仏とされお厨子の中に祀られており、12年に一度、午年の七草法要の際に扉が開けられます。　現在の本堂は、戦火に焼けるも、近隣の大沼という所で雅楽堂として使われていた建物を移築したものです。
油掛地藏尊
	昔、「大阪は堺に油の行商人が住んでおり、旅をしながら諸国を歩き商売にいそしんでいました。或る時、歩き疲れて道端の御地蔵様の前で一休みしていました。商人はうとうとしながらこんなお告げを聞いたといいます。この私（御地蔵様）に油を掛けて御供養すれば商売が繁盛しますよ。」そのお告げの通り、お地蔵様に油を掛けて御供養すると、商売が軌道に乗り、一代で大きな財産を築き、油問屋を営むまでになったといいます。　戦後、京都の造り酒屋を営む方に御縁を頂き、今も京都にあるその御地蔵様からお精をいただいて、お地蔵様をお祀りし、「油掛地藏尊」として善入院の境内に安置しました。以来、身体健全、商売繁盛を願う多くの方々がお参りに見えるようになりました。参詣者の方々が供えたお礼の菜種油、サラダ油は灯明に、ゴマ油は実際に御地蔵様に掛けるために使われています。毎年四月下旬には一年の無事を願う油掛地藏尊縁日大祭が嚴修されます。

境内

墓地(入口)	墓地